特集!痛みシリーズ~その5~ワンちゃんの災難

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特集!痛みシリーズ~その5~ワンちゃんの災難

 

おなじみ「痛みの心理学」からの記事です。
今日は『第三章 人格の発達と痛み』というところからです。

後で、犬の出てくる実験がありますが、非常に興味深いです。
これを人間で実験したら、間違いなく捕まります。

しかし、大変意義深く、そして痛みの実体を知るには最適な実験ではないでしょうか?

ソーシャル・リファレンスィング

ヨチヨチ歩きの幼児がいます。母親と戯れているうち、調子に乗りすぎて、テーブルの角に頭をぶつける。ビックリした幼児はそこで遊ぶのをやめて、母親の方を見ます。「何が起こったの?」「この頭の感じは何?」「このままで大丈夫?」「泣いたらいいの?それともママのところへ駆けていこうか?」と、母親に尋ねるかのように…。

こうした幼児の行動を、ソーシャル・リファレンスィングと呼びます。そのソーシャル・リファレンスィングに母親がどう応答するかによって、痛み・不安などに意味づけがなされ、幼児の対人関係が規定されていきます。

たとえばそこで母親が、何事もなかったように「心配ないわ、さぁいらっしゃい」と両手を差し伸べたとしましょう。すると幼児は、泣き笑いを笑みにして、母親の元へと駆けていくに違いありません。

しかしそこで母親が、「大丈夫!?怪我してないっ!?」と真っ青になって駆け寄れば、幼児のほうも何事かと激しく泣き出すでしょう。もしかしたら「いたい!いたい」と叫びだすかもしれません。

こう書くと「でも、それは痛みのひどさにもよる」と、反論が出るかもしれません。確かに「心配ないわ、さぁいらっしゃい」と母親が両手を差し伸べたからといって、頭から血が噴き出ているのに笑いながら、母親の元へ駆け寄る子供はいません。でもそれは、裏返して考えれば「ソーシャル・リファレンスィングへの応答として、頭から血が噴き出している子供に笑いながら『心配いらないわ、さぁいらっしゃい』と両手を差し伸べる母親がはいないお陰である」のかも知れないのです。

実際、ソーシャル・リファレンスィングへの応答の欠如が、危険信号としての痛覚の発達阻害を導くことを示す実験があります。

カナダのペイン・サイコロジスト、メルザックはスコットランド・テリア犬を乳児期から成熟まで、他の犬から完全に隔離して檻の中で育てました。通常の成長過程で経験するあらゆる外傷と、それにまつわるソーシャル・リファレンスィングの機会を奪ったのです。

こうして成熟したテリア犬は、炎を見るとその中に鼻の頭を突っ込み、一瞬反射的に身をひるがえしはしても、すぐにまた同じことを繰り返しました。また、炎の中に鼻を突っ込まない場合でも、実験者が鼻に炎を差し向けるとそれを避けようとはせず、繰り返し鼻を炎のほうに向けました。加えて、これらのテリア犬は足を針で刺されても、ほとんど反応を示さず、されるがままになっていました。これに対し、普通に育てられたテリア犬は、実験者が炎や針を持って近づいただけで逃げ出してしまうことは言うまでもありません。

この現象を、痛覚神経の未発達として説明することはできません。隔離して育ったテリア犬も、炎から反射的に身をひるがえしましたし、強度の電気刺激を与えると、正常なテリア犬と同じように逃げ出そうとしたからです。

ただ、隔離されて育ったテリア犬には、外傷の経験がありません。そればかりか「対犬」関係におけるソーシャル・リファレンスィングをしたことも、応答をもらったこともない。つまり、痛覚を適応的に利用しようにも、その準拠枠となる過去の体験とその記憶がないのです。
(痛みの心理学 丸山俊彦 中公新書 1989 37~39ページ)

とすると、痛みの体験や記憶が増えれば増えるほど、痛みを感じやすくなるのではないか?と私は考えます。
ですから、お年寄りに痛い人がたくさんいるのは道理ではないか。

年をとる=痛い ではなく。

年をとる×痛み体験・記憶=痛い

ではないか?そう睨んでいます。

そして、まとめますと、痛みとは感覚というだけでなく、その特性により大いに経験や記憶に左右されるということです。
同じ痛み感覚を各個人に入力したとしても、その強さや長さは経験や記憶によって各個人の痛みに形を変えてしまうわけです。

もちろん、個人の中でも年を追うごとに成熟され、常に変化を求められる感覚なのです。

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