エピソード0!痛みシリーズ~その1~

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エピソード0!痛みシリーズ~その1~

 
痛みシリーズと題して痛みの摩訶不思議を一緒にスタディーしましょう。

ここ二十年間における痛みの研究および臨床の進歩は三つの大きな流れに集約されます。

まず①第一が、解剖・生理学的な知識の蓄積をもとに、伝達される痛み刺激の量が脊髄レベルで調整されることを提唱した「ゲートコントロール理論」。それに、脳外科的所見を加え、さらに抽象化した「中枢性パターン生成理論」。

②二番目がエンドルフィンと呼ばれる、生体内のモルヒネ(麻薬性鎮痛剤)様物質の発見。

③三番目が学習理論の臨床的応用である。慢性の痛みに関するオペラント条件付け理論。

難しいですね…。わかりやすくしてみます。

①「(痛み)刺激の量」=「(実際に感じる)痛みの強さ」ではない。
例えば、足の小指をタンスにぶつけた。あれは本当に痛い!この刺激を50とします。古い痛みの考え方であれば50の刺激は50のまま、脳まで伝達される。という考え方でしたが、新しい研究では小指から50で入力された刺激はまず、脊髄で調整(ゲートコントロール)され、さらに脳でも修飾(中枢性パターン生成理論)されるということがわかったのです。よって足の小指から入力された50の刺激は脳で感覚されるまでの途中で20になったり、80になったり修飾される可能性があることがわかりました。

②麻薬性鎮痛剤の王者・モルヒネを感じる部分が脳の中に発見されたこと。そしてこの部分に結合する体内の物質が発見される。これをエンドルフィンと呼びます。一言でいいますと「人間は痛みを抑えるために自分の体の中で(痛み止め効果のある)麻薬を合成できる」ということです。

③オペラント条件付け。
痛みを持っているだけでは痛みの患者さんとは呼べません。病院に通院するようになったり、家族や周囲の人に「痛い!」と訴え続けるなどの、いわゆる『痛み行動』を継続することで慢性痛患者になってしまいます。
患者さんであり続けること自体がオペラントを維持したり強化したりするのは痛みの刺激そのものよりも家族関係、夫婦関係、会社、医師患者関係、経済的状況に深い関わりがあると考えられています。
こうした痛み行動を減らし、患者さんを「痛みの患者さんであり続ける」というオペラントから開放し、QOLを回復させることが慢性痛の治療にとって急務ではないかと考えられます。

この三本柱が痛みの謎を少し解き明かしてくれます。最初に「幻肢痛」を紹介しながらこの三本柱に近づいてみましょう!

『幻肢痛』

戦争、事故、手術などによって四肢(腕、手や脚、足)が切断された場合、切断されたはずの腕や手、脚があたかもまだ以前と同じようについているように感じられることがあります。これを『幻肢』といいます。幻肢は歩いたり、座ったり、寝たりする時、正常な四肢と同じように、空間を動き回ります。

形といい大きさといい、それがあまりにも実物に近いため、幻肢で物を取ろうとしたり、幻肢で歩こうとして転んでしまう事さえ起こるのです。

その間、むずがゆい感じを幻肢に覚えるのが普通で、それをチクチクした感じ、重い感じ、冷たい感じ、暖かい感じと表現する人もあります。

四肢を切断した人のうち三分の一くらいが、幻肢に痛みを訴えます。「焼けつくような」「叩き潰されたみたいな」「高圧電流が駆け抜ける感じ」などと、表現される。この幻肢痛は切断直後に始まることもあれば、数ヶ月、数年してから始まることもあり、いったん痛みだすと一年以上続くのが普通です。人によっては何十年も続くこともあります。

幻肢痛にはいくつか興味深い特徴があります。
第一に幻肢痛は戦争中など、突然四肢をもぎ取られた場合にはむしろ少なく、痛みに苦しんだあげくに手術的に四肢を切断した場合のほうが起こりやすいことが分かっています。

第二に幻肢痛はごくわずかの刺激を引き金として激痛に変わります。例えば排尿、排便がその引き金になることもあれば、体の特定の場所に軽く触っただけで激痛が走ることもあります。また、二十五年前に切断した部位から、狭心症の痛みを引き金にして幻肢痛が始まった例も報告されています。

第三に切断末に局所麻酔をかけると、麻酔が切れた後も、数日ないしは数週、または永久に幻肢痛が消えることがあります。

こうした幻肢痛の特徴は今までの痛みの概念では説明しきれません。交感神経の異常、心理的な要素等々考えられていますが、結論に至ってはいません。

ただ、言えるのは幻肢痛の原因が単一のものではないことです。

そこで考えられるのは、痛み情報を処理する中枢(脳)機能に、末梢での外傷が原因で異常が生じ、そのため末梢からの触覚刺激や交感神経の興奮、さらには情緒的な変化が、異常な神経刺激パターンを生み出す場合です。   (以上、青字の部分 痛みの心理学  中公新書 丸田俊彦 1989年 22~25ページ )

腕や脚など失ってしまった部位についても脳の痛みを処理する部分は働いてしまいます。
現在では鏡を使ったリハビリなど様々な方法が症状の軽減に一役かっているようです。

この症例ではいかに脳に対するアプローチが重要なのか教えられます。
われわれは患者さんの患部や表情、その他諸々を視診なり触診をして診断~施術していくわけですが、この幻肢痛に関してはその主役ともなる患部が存在しないわけですから、アプローチの仕方が非常に狭まります。

普段、患部しか診ないで施術している人がいるとすれば、その時点でゲームオーバーなわけです。
(実際、接骨院レベルに幻肢痛の患者さんが来院されるとは思いませんが…)

確実に『目では見えない痛み』というのが存在することを証明してくれいます。

目で見える患部を使っての除痛は臨めないわけですから、その他の部分を刺激し脳に介入するしかありません。
裏を返せば患部があったとしても、その他の部分から脳に介入することは可能なのです。
腰を触らずとも腰痛はとれるだろうし、肩を触らずとも肩コリがとれるだろうし、膝を触らずとも膝の痛みがとれるだろう。

言うまでもありませんが、患部が存在するのであれば患部を診ることも大事なことと思います。

脳にいかにアプローチしていくか…?これが肝要!

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